2025年10月31日
                                
ニュースリリース
グロービス経営大学院、「AI」「人的資本戦略」「サスティナビリティ経営」など8テーマの紀要を公開! 先端の経営手法やテクノベート研究などを継続発信へ
グロービス経営大学院(東京都千代田区、学長:堀 義人)は、2025年10月31日、8テーマの研究結果をまとめた「グロービス経営大学院紀要 第4巻」を公開したことをお知らせします。
本紀要は、グロービス経営大学院における研究活動の成果を広く発表し、学術界(アカデミア)及び社会へ知的貢献を行うことを目的としており、研究活動などを行っているファカルティグループの教員及び、教員らの元で在学中に研究プロジェクト*1を行った学生らによって執筆されました。
*1 研究プロジェクト講座詳細:https://mba.globis.ac.jp/curriculum/detail/rep/
またグロービス経営大学院では、今回の紀要の査読にAIツールを活用しました。査読でのAI活用においては、正確性や機密情報漏洩防止などの観点を十分に考慮しながら、査読全体の水準と公平性を高めることを目的に運用しています。
グロービス経営大学院は、今後も実践的な教育活動とともに、研究活動にも注力していきます。先端の経営やテクノベート*2に関する研究、教育手法に関する研究、実務知見を活かした研究などを進め、実務に直結した課題設定と実証的な分析を通じて、教育・研究・企業実務の橋渡しを目指してまいります。
*2 テクノベート:テクノロジーとイノベーションを組み合わせたグロービスの造語。

■グロービス経営大学院紀要 第4巻テーマと概要 
2023年3月第1巻、2023年11月第2巻、2024年10月第3巻に続き、2025年10月31日に第4巻を発行しました。
紀要詳細、ダウンロードはこちら:https://www.jstage.jst.go.jp/browse/globis/-char/ja
<第4巻 テーマ>
「知能」は一次元か、多次元か~AIを巡る誤認と、ヒトが果たすべき役割に関する一考察~
AIが組織における経営と労働の在り方に及ぼす影響はますます拡大しており、それに伴ってAIに関するリスクや懸念もより深刻な問題として議論されるようになってきた。しかし、こうした「AI脅威論」の中には、実態と乖離した誤認にもとづくものも少なくない。本研究ではこの問題意識に基づき、まずAI脅威論の背景にある知能観として「一般知能因子(g因子)説」が影を落としていることを指摘したうえで、ヒトの知能の構造をより的確に示すモデルとして多重知能理論について解説する。次に、一般にはヒトの得意分野と認識されているが、実はAIの方がすぐれた能力を発揮する領域の例として、「パターン認識」「共感」「個別対応」「創造性」について検討する。最後に、今後ヒトとAIが効果的に協働・共生する社会を実現するために人間が果たすべき役割として、「監督」「プロデューサー」、そして「希望の担い手」という3つの役割を論じる。特に、探索可能な範囲の限界(「水平線」)の先にある事象をAIが適切に評価できないという水平線効果によって生じうるさまざまな意思決定リスクに抗するために人間が果たすべき枢要な役割として、困難な状況下でも「希望」を掲げ続けることの重要性について考察を深める。
(執筆者:松永 正樹)
定年延長が従業員の残りの職業人生の捉え方に与えた影響~ダイキン工業株式会社における事例~
シニア活躍に積極的に取組む企業として最近定年延長に踏み切ったダイキン工業株式会社(以下、ダイキンと記す)に注目し、社会情動的選択性理論(SST)に基づく職業的未来展望(OFTP)の観点から、制度変更が従業員の残りの職業人生の捉え方にどのような影響を与えたのかを調査した。調査の結果、モチベーション高く働いているシニアおよびミドルシニアは、制度変更を経て残りの職業人生をより前向きに捉えるようになっていたことが分かった。定年延長が将来の時間/機会の認識にポジティブな影響を与えていたことに加え、同社の理念である「人を基軸におく経営」を体現した上司の働きかけがOFTPを高めている可能性が示唆された。
(執筆者:西村 英記、遠藤 桐代、小林 由華、中村 円香、本間 澄江、石橋 直美、竹内 秀太郎)
オムロンのサステナビリティ経営
2024年6月、オムロンはESG投資の国際的な株価指標であるEuronext Vigeo World 120 Indexの構成銘柄に選定された。世界中の大手企業1,500 社の中から120 社が選定され、日本国内からは15社のみが選ばれた(オムロン2024a)。また、ESG指数として世界的に認知度の高いDow Jones Sustainability Index(DJSI World)の構成銘柄にも8年連続で選ばれている(オムロン2024b)。情報開示の厳格化・ルール化に対して受動的な対応のみに留まる企業も多い中、企業理念経営を標榜するオムロンは、どのようにサステナビリティを経営の中核に取り入れてきたのかを研究した。
(執筆者:本田 龍輔、竹内 秀太郎)
職場のコンパッション醸成に向けた自己診断ツール活用の研究
近年、職場におけるコンパッションは、メンバーの前向きな行動を促し、成果向上に寄与する要因として注目されている。また、自己診断ツールの職場活用が広がり、組織設計やチームビルディングの支援だけでなく、リーダーとメンバー間の相互理解やコミュニケーションの促進にも貢献するとされる。本研究では、自己診断ツールの職場における具体的な活用実態を調査し、ツールを活用するリーダーおよびメンバーへのインタビューを通じて、その効果と懸念点を明らかにした。調査の結果、自己診断ツールはチームビルディングやコミュニケーションの促進に一定の効果をもたらすだけでなく、職場におけるコンパッションの醸成にも寄与していることが確認された。一方で、診断結果に起因したレッテル貼りによる人間関係の固定化や、自己診断ツールの信頼性に対する疑問といった、心理的・倫理的な懸念も明らかとなった。これらを踏まえ、自己診断ツールの適切な活用を支援し、弊害を最小限に抑えるための行動モデルを策定した。そして、この行動モデルに沿った自己診断ツールの活用が、職場のコンパッションの醸成に寄与することが示唆された。
(執筆者:新松 豊、小倉 淳、高橋 里枝、大津 ひとみ、石川 耕平、若杉 忠弘)
部下の仕事と子育ての両立を支援する上司の行動に関する研究
仕事と子育てを両立する部下を支える上司(ミドルマネージャー)の支援行動に焦点を当て、持続可能な支援の在り方を探求した。21組の上司・部下ペアへの半構造化インタビューを実施し、良好・課題事例を比較する中で「共感」「理解」「利他性」の3要素が両立支援の鍵であること、上司が疲弊しないことが両立支援に不可欠であることが示唆された。本研究は、日本企業の現場に即した上司の両立支援の心構え・行動を提示するものである。
(執筆者:上栗 絵梨香, 白水 昭衣, 土屋 紀子, 若杉 忠弘)
プロジェクトチームにおけるコンフリクト解消と成果向上に関する研究
プロジェクトチーム内で発生するコンフリクトが、チームの成果にどのように影響するかを検証した。日本ビジネススクール・ケース・コンペティション2024に参加した10チーム、計30名へのインタビュー調査を実施し、チーム内で生じたコンフリクトの具体的な状況と、その解消に至る過程を分析した。インタビューから抽出したコンフリクト事例は、5つの主要タイプに分類された。HighパフォーマンスチームとLowパフォーマンスチームを比較したところ、コンフリクトの発生件数自体には差は見られなかった。しかし、発生したコンフリクトを効果的に解決できたチームほど、成果が高い傾向が見られた。特に、人間関係に起因する「モチベーションの違い」および業務タスクに関する「意見の衝突」については、Highパフォーマンスチームがより多くのコンフリクトを解決していたことが確認された。一方で、すべてのコンフリクトを完全に解消する必要はなく、重要なコンフリクトに対して適切な対応がなされたかが、成果の違いを生んだことが示唆された。本研究は、コンフリクトを単なる障害ではなく、チームの関係性を再構築し、信頼を深め、成長を促す機会として捉えることの重要性と解消に向けた具体的なガイダンスの提示を試みた。
(執筆者:渡邊 雅俊、栗原 正志、島田 美奈、山田 誠、林 一郎、若杉 忠弘)
生活リズム(朝型/夜型)と主観的幸福度の関係
生活リズムの乱れは、健康状態や仕事のパフォーマンスなど多くのものに影響を及ぼすことが知られている。本研究では、日本の働く社会人を対象に、生活リズム(朝型/夜型)と主観的幸福度の関係を明らかにすることを目的とした。2025年に実施した日本の働く社会人(8,616名)を対象としたアンケート調査の結果、①朝型(早起き型)、②中間型(早朝でも深夜でもなく一日の中間時間帯に活動する)、③夜型(夜更かし型)、④不規則型(その日の調子や状況によって活動時間が変わる)の 4タイプの中で、③夜型および④不規則型の主観的幸福度が有意に低いことが明らかとなった。今回得られた結果は、生活リズムを見直すことによって幸福度を高めるための基礎的知見となりうる。
(執筆者:米良 克美)
パートタイムMBA生の職業的自己効力感を高める在学中の経験についての考察
本研究は、パートタイム MBA 課程に在籍する学生が、在学中のどのような経験を通じて職業的自己効力感を高めたかを明らかにすることを目的とした。4名のMBA 生にインタビューを行い、
Bandura(1997)の理論的枠組みをもとに分析を行った。その結果、(1)在学中に直面する困難を乗り越えることが職業的自己効力感の向上を促すこと、(2)自らの職業的自己効力感を高める契機となる経験は人によって異なるため、自分の状況に応じて、どのような経験を積むかを意識的に考え、行動していくことが重要であること、(3)大学院の授業での学びを職場実践に活かし、成果を得る経験が職業的自己効力感の向上につながることが示唆された。
(執筆者:長舩 元一、勝原 拓也、藤井 光紗、 簗瀬 雄、天野 慧)
◆グロービス経営大学院
( 日本語プログラム |英語プログラム )
グロービス経営大学院は、2006年の開学以来「能力開発」「人的ネットワークの構築」「志の醸成」を教育理念に掲げ、ビジネスの創造や社会の変革に挑戦する高い志を持ったリーダー輩出のために尽力しています。国内では東京・大阪・名古屋・福岡・オンラインの5キャンパスおよび仙台・水戸・横浜の特設キャンパスを開設。さらに海外ではシンガポール・バンコク・サンフランシスコ・ブリュッセル・マニラに開講拠点があります。2006年開学当初78名だった入学者数は、2025年4月には日本語MBAプログラムで943名に達しました。在校生・卒業生は合計1万3,000人を超え、日本最大のビジネススクール*に成長を遂げています。英語MBAプログラムは、パートタイム&オンラインMBAプログラム、フルタイムMBAプログラムを展開し、世界各国から多様な学生が集まっています。グロービス経営大学院は、今後も創造と変革を担うビジネスリーダーを育成し、テクノベート時代の世界No. 1MBAを目指していきます。
* 参考:文部科学省「令和7年度専門職大学院一覧」
グロービス経営大学院 体験クラス&説明会
グロービス経営大学院は、本科(MBA)への進学を検討している方、進学を視野に単科で1科目から学び始めたい方向けに、体験クラス&説明会を全国の拠点、およびオンラインで開催しています。
詳細はこちら:https://mba.globis.ac.jp/trial-class/
日程の合わない方、過去に「体験クラス&説明会」に参加済みの方、グロービスでの受講経験をお持ちの方は、個別相談をご利用ください。
◆グロービス (https://globis.co.jp)
グロービスは1992年の設立以来、「経営に関するヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会の創造と変革を行う」ことをビジョンに掲げ、各種事業を展開してまいりました。「ヒト」の面では、グロービス経営大学院に加え、スクール型研修や集合研修など法人向け人材育成サービスを展開するグロービス・コーポレート・エデュケーション、eラーニングや定額制動画学習サービス「GLOBIS 学び放題」などを提供するグロービス・デジタル・プラットフォームにより、リーダーの育成を推進しています。「カネ」の面では、ベンチャー企業への投資・育成を行うベンチャー・キャピタル「グロービス・キャピタル・パートナーズ」を運営、「チエ」の面では、出版事業ならびにオウンドメディア「GLOBIS 学び放題×知見録」を通じて知の発信を行っています。さらに社会における創造と変革を促進するため、一般社団法人G1によるカンファレンス運営、一般財団法人KIBOW による震災復興支援および社会的インパクト投資などの活動を展開しています。
グロービス:
学校法人 グロービス経営大学院
・日本語(東京、大阪、名古屋、福岡、オンライン)/英語(東京、オンライン)
株式会社 グロービス
・グロービス・エグゼクティブ・スクール
・グロービス・マネジメント・スクール
・企業内研修
・出版/電子出版
・「GLOBIS 学び放題×知見録」/「GLOBIS Insights」
・「GLOBIS 学び放題」/「GLOBIS Unlimited」
グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社
顧彼思(上海)企業管理諮詢有限公司
GLOBIS Asia Pacific Pte. Ltd.
GLOBIS Asia Campus Pte. Ltd.
GLOBIS Thailand Co., Ltd.
GLOBIS USA, Inc.
GLOBIS Europe BV
GLOBIS Manila Inc.
その他の活動:
・一般社団法人G1
・一般財団法人KIBOW
・株式会社茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント
・株式会社LuckyFM茨城放送
【取材に関するお問い合わせ先】
グロービス 広報室 担当:土橋涼
E-MAIL: pr-info@globis.com
 
				






